2019年3月31日日曜日

デスクトップオーディオの必需品 iFi Audio nano iOne

Bluetoothが使える高音質DAC

ピュアオーディオ業界は、ワイヤレスの導入に積極的ではありません。
なぜなら、妥協ない高音質を目指しているので、圧縮するため劣化し、ノイズの影響を受けやすいワイヤレスというのは嫌われ者でした。

しかし、ワイヤレスはとても便利です。今ではどんなデバイスでもBluetoothが搭載されています。いちいちスマホにケーブルを挿して音楽を聞くのは面倒です。
AppleのAirPodsのヒットを見ても分かるように、気軽に使えるというのは、一般ユーザーにとっては、音質よりも重要です。

そして、利便性と音質が両立されていれば最高です。ですが、意外とそういった選択肢は少ないです。現在あるのはBluetoothを搭載しているDACのほとんどは、ポータブル向けです。

そのなかで、iFi Audio nano iOneは異色の存在なのかもしれません。
バッテリーは搭載のUSBバスパワー駆動で据え置きでの使用を前提としています。そして、USB、Bluetooth、SPDIFの3つの入力を備えています。さらに、現在あるコーデックのほぼ全てに対応しています。
そのためデスクトップに置くだけで、PC、ゲーム機、スマホやタブレットなどあらゆるデバイスと接続できます。

最新のDACチップが最良とは限らないかも

D/A変換はまだ完璧な技術ではないのかもしれません。新しいチップほど高性能で、1枚のチップでボリュームコントロールなどの様々な機能を備えていたり、省電力化されています。しかし、必ずしも高音質というわけではないようです。

iFi Audio nano iOneのDACチップは、バーブラウンDSD1793を搭載しています。iFi Audioはこのチップにこだわりがあるようで、現在販売しているすべてのDACに、このチップを搭載しています。

バーブラウンDSD1793は、2003年に発売された10年以上も前のチップです。当時はBluetoothが日本で普及を始めたばかりの頃で、アメリカではiTunes Storeが開始された時代です。当時の音源は、ほとんどがCDで、そして一部がSACD、ごく僅かにダウンロードによる音楽配信があった程度でした。コーデックも高音質はPCM、圧縮音源はMP3が主流で、DSDやAACが一部で使われているような状況でした。

そんな昔のチップが、ハイレゾ音源などの当時にはなかった様々なソースがある現在でも使えるのか?
どうやら使えるようです。そして、音質も素晴らしいです。

音質

USB、SPIDIF、Bluetooth、3つの入力に関しても感じるのはクリアさです。
余計な付帯音をなくし、ノイズの少なさを感じます。
入力ソースに対して忠実にアナログ変換しているような感じがします。ソースが良ければ良く、悪ければ悪いように、そのままダイレクトに変換されています。

CHORD Mojoのように、どんなソースもCHORDの音にしてしまうことはありません。
CHORDは独自のDA変換をしているため、他のDACとは比較にならない特徴のある音質です。その音質が気に入れば、CHORD以外を買う気がしなくなります。

対して、iFi Audioは、入力ソースに忠実にDACの存在を感じさせません。録音されA/D変換されたものを、なるべくそのままD/A変換しようとしている気がします。

接続の安定性

Bluetooth

aptXとACCの両方のコーデックに対応しているため、Bluetoothでも高音質です。
Bluetooth接続は、確認できた範囲では3台ペアリングすることができました。確認していないので、それ以上にできるかもしれません。
最後に接続したデバイスが優先されて接続されます。切り替えたい場合はフロントパネルにあるペアリングボタンで切り替えられます。
音切れやノイズは今のところ発生したことはありません。近くでBluetoothマウスを使用していますが、問題なく使用できています。
半径5メートルくらいまでは、接続にまったく問題はありません。

4ヶ月ぐらい使用していますが、一度だけ接続はできているが、音が出なくなるトラブルがありました。デバイスのペアリングを解除して、再度ペアリングすることで回復しました。
特に大きな問題はなかったので、Bluetooth接続に関しては優秀だと思います。

USB

PCに接続するだけで、オーディオデバイスとして認識されます。特に接続が途切れたりすることもなく、安定して使用できます。

SPDIF

接続に関して特に問題はありません。ガルバニック・アイソレーションが施されており、電気的に絶縁されているため、ノイズの影響が少なくです。

気になる点

USBバスパワー駆動

USBバスパワーで駆動するため、BluetoothとSPDIFを使う場合でも、PCの電源が入っている必要があります。これは、かなり残念な点でBluetoothだけ使いたいというときに不便です。常に給電できるようにUSB端子に電源を繋いでしまうと今度はUSB入力が使えなくなります。

これを回避するためには、iFi Audio iDefender3.0とiPower 5Vを組み合わせて使うことで、PCの電源が入っていない状態でも使用する事ができるようになります。また、クリーンな電源で給電されるので音質も向上します。
ただし、これらをセットで購入すると5万円以上になってしまうのが欠点です。

入力が少ない

iFi Audio nano iOneは3つのデジタル入力系統と1つのアナログ出力とデジタル出力を備えています。
しかし、デジタル出力を使う場合はSPDIF入力が使えなくなります。なぜなら、デジタル出力と入力を1つの端子で行っているからです。

まとめ

iFi Audio nano iOneはあらゆるデジタルソースに対応する珍しいデバイスです。価格も3万円以下とオーディオ機器としてはお手頃です。

初めてDACを買おうと思う人には非常におすすめです。iFi Audioの上位モデルと同じDAチップを採用しているので、音質が良いです。この音質が気に入れば、上位モデルの購入を検討してみると良いと思います。

また、オーディオシステムをアップグレードしていってもBluetoothレシーバーとして活用できるので、無駄になりにくいです。より高価な機器ほどBluetooth接続できないものが多いです。

ヘッドホンアンプの機能はついていないため、別に用意する必要があります。
手軽に様々なデジタルデバイスと接続できて、価格もオーディオ機器の中では比較的安価で手に入り、高音質を体感できます。


2019年3月27日水曜日

色あせない音色 Ultimate Ears Triple.fi 10Pro

ハイエンドイヤホンの先駆け

Ultimate Ears Triple.fi 10Proが発売された時代

2019年現在、5万円以上のイヤホンは無数にあります。10万円を超えるものも珍しくなくなりました。
本来アーティスト向けであったカスタムIEMも、一般ユーザーであっても、非常に簡単に作ることができるようになりました。街中でも1万円以上するイヤホンをしている人は無数に見かけます。
しかし、10年以上前にはそのような選択肢はありませんでした。イヤホンに1万円以上も出すのは一部のマニアだけでした。
そんな中で存在感を示していたのが、Ultimate Ears Triple.fi 10Proです。
発売当初は約5万円ほどもしました。今では、それほど高く感じないのが怖いですが、当時とすれば考えられないほど高かったです。
後にUltimate EarsがLogitech(日本ではLogicool)に買収されたあと、生産終了間際には1.5万円くらいで購入することができるようになりました。
その頃にはSHUREのSEシリーズも発売されて、ハイエンドイヤホンが一般的になる時代の幕開けとなりました。

ハイエンドイヤホン=マルチBAという図式

今では、高級なダイナミックドライバーを搭載したイヤホンが多くあります。しかし、2008年12月にゼンハイザーIE8が発売されるまでは、ハイエンドイヤホン=マルチBAでした。
現在では特許が切れたらしく、価格が下がったり、イヤホンメーカー各社で開発できるようになったため、マルチBA=ハイエンドではなくなりました。

音質

今の基準で考えると、決してフラットな音質ではないです。柔らかくやや曖昧な低音域とキラキラの高音域。バランスは低音域と高音域が強く、BAドライバのクロスオーバーの影響でやや控えめな中音域。そして、とても広い音場。
この組み合わせは、似たようなものがなく、今でも非常に魅力的なイヤホンです。この音が気に入れば、他のイヤホンでは、なにか物足りなく感じます。
ただフラットなだけのイヤホンやヘッドホンは増えてきたため、個性のあるイヤホンの価値は高いです。1本はこういったモノを手元においておきたくなる、そんなイヤホンです。

まとめ

現在生産されていないのは、本当に残念です。
後継機種や10周年記念モデルも発売されましたが、どれも同じ音質ではなく別物のようです。
壊さないように大切に使っていきたいと思います。10proを持っている方は大切に使ってほしいです。
リモールドもできますが、この独特なハウジングから生み出される音がなくなってしまうので、そのまま使うことをおすすめします。
予備にもう1本買っておけばよかったなぁと後悔しています。

2019年3月26日火曜日

USBアクセサリーとしては最大の効果 iFi Audio iGalvanic3.0

最高のUSBアクセサリーの1つ


iGalvanic3.0は効果があるのか?

オーディオ業界には、オカルトのような高価な製品が沢山あります。
5万円を超える電源ケーブルや、RCAケーブル、USBケーブル、スピーカーケーブルにヘッドホン、イヤホンのリケーブル。これらは、まだマシなほうで一定の効果があります。個人的には、ある程度以上の品質であれば、大きな違いは感じられませんでしたが、人それぞれ感じ方は違うでしょう。

さて、iFi Audio iGalvanic3.0はどうでしょうか。公式サイトを見てもらえば分かりますが、iGalvanic3.0の説明も相当に怪しいですね。USBオーディオにおける聖杯であると。果たして本当にそうなんでしょうか?

USBはデジタル信号なのに、音質は変化する?

PCの規格として当たり前となっているUSB端子。PCとHDDやプリンタ、スマホなど、あらゆる機器がUSBで接続をしてデータをやり取りしています。しかし、そのデータのやり取りの方法は、すべて同じではありません。

例えば、HDDにデータを転送した際に、データがノイズの影響を受けて変化したりすることは基本的にありません。なぜなら、エラー訂正が行われているからです。エラーがあれば、再度信号のやり取りをして、エラーを訂正します。HDDのようにリアルタイム性が求められず、大量のデータをやり取りする場合には、バルク転送が利用されています。

しかし、オーディオとなると状況は変化します。音楽や映像といった信号はリアルタイムで変化するため、エラー訂正を行っていると、遅延が発生して音と映像がズレてしまいます。そのため、ほとんどのUSBオーディオインターフェースは、アイソクロナス(Isochronous)転送を利用してます。つまり、簡単に行ってしまえば、エラー訂正が行われていません。そのため、元のデータとは異なることがあり、音質が変化する可能性があります。







USBオーディオにおける聖杯

 公式サイトでは聖杯とされるiGalvanic3.0は、USBアイソレーターです。
USBアイソレーターとは、PCからの信号や電源はノイズが多いため、そこから絶縁し、切り離すことでノイズの影響をなくそうとするモノです。
iGalvanic3.0は、信号、電源、アースの3つすべてを絶縁しています。他のUSBアイソレーターは、信号のみを絶縁するタイプが多いので、iGalvanic3.0にはアドバンテージがあります。

PCとUSB-DACの間に追加するだけで効果を感じることができます。しかし、ヘッドホンを変えたときのような劇的な変化はありません。
今のオーディオシステムに大きな不満があるなら、iGalvanic3.0を追加しても改善されないでしょう。iGalvanic3.0は約5万円ほどと高価なため、5万円でより良いヘッドホンやイヤホン、スピーカーを買うべきです。

ただし、あくまでも劇的な変化はないというのは、オーディオシステム全体として考えたときの評価です。USBアクセサリーとして考えれば、公式サイトの表現を借りるなら"莫大な"効果があります。少なくとも高価なオーディオ用USBケーブルよりは効果があります。



3つのアイソレーションモードと音質

iGalvanic3.0には、3つのアイソレーションモードがあります。オーディオシステムによって、どのモードが良いか視聴して決めるのが良いでしょう。
どのモードで使用しても、音全体のモヤがなくなり、一音一音がはっきりとします。曖昧さがなくなり、芯のある音になります。
3つのモードの違いは、わずかに感じられますが、システムによっては大きく違いが出るかもしれないので、参考程度に考えてください。
また、使用環境によっては、プチプチノイズが入ったり音が途切れたりするようなので、一番安定するモードを使うべきでしょう。

フル・アイソレーション

基本的にはこのモードで使用がオススメです。最もフラットでクリアな音質です。

DCからRFへのソフト・グラウンドリンク

低音域と高音域が柔らかくなり、長時間のリスニングに向いてる気がします。

RFソフト・グラウンドリンク

低音域がやや柔らかくなり、わずかに音が広がるようになる気がします。

私はフル・アイソレーションモードで使用していますが、各モードの音質差はそこまで大きくありません。やはり一番安定するモードで使うのが良いでしょう。

iGalvanic3.0買いか?

コスパを求めるなら、まったくオススメしません。
まずは、iFi Audio iDefender3.0を買いましょう。1万円以下で効果も十分にあります。
使っているDACが、USBバスパワーで駆動するなら、iPower 5Vも合わせて購入すると良いでしょう。
これらはiGalvanic3.0とも組み合わせて使えるため、オーディオシステムをアップグレードする際に無駄になりません。

今のシステムに不満はないけれど、さらに良くしたいというのであれば、iGalvanic3.0は最適です。
約5万円とかなり高価な製品ですが、5万円のUSBケーブルよりは効果が確かです。

優先度としては、
ヘッドホン・スピーカー>>>アンプ>DAC・CDプレーヤー>>iGalvanic3.0>その他アクセサリー
と言った感じになると思います。

ダメな点

まず価格が高いです。この小さいアルミニウム製の小さな箱に、この値段を出せるかどうかがポイントです。
あと、結構発熱します。手で触ってみると温かいのがわかります。経年で壊れないか心配です。
最後に安定性です。使っているOSや環境によってはノイズが入ったり、接続が途切れたりする可能性があります。5万払って音質以前の問題として使えないアルミの箱を手にすることになるかもしれません。

まとめ

iFi Audioの代理店であるトップウィングは、デモ機の貸出を行っています。
一度に複数のデモ機を借りることができるので、まとめて試してみたい機器を借りるのがオススメです。
デモ機を返送する送料がかかりますが、自分のオーディオシステムでの効果を確かめられる費用と考えれば安いです。
高価なケーブルなどのアクセサリーを買う前に、ぜひiGalvanic3.0を試してみてほしいです。
ただし、ヘッドホンやスピーカー、DACなどに不満があるのならば、そちらを優先したほうが良いです。
今あるシステムに大きな不満がなく、方向性を変えずにより良くしたい場合には、iFi Audio iGalvanic3.0は非常におすすめできるアイテムです。

2019年3月23日土曜日

1万円台前半 ベスト・バイ・イヤホンを比較 ゼンハイザー IE40Pro vs SHURE SE215

新世代のスタンダードとなるイヤホン


SHURE SE215 SPE ゼンハイザーIE40PRO

激戦区1万円台前半のイヤホン

2019年現在、1万円台のイヤホンは、イヤホン・ヘッドホンブームによりSHURE SE215発売当時の2011年と比べると、信じられないくらい沢山の選択肢があります。最近では、完全ワイヤレスイヤホンも流行っていますので、さらに選択肢は多いです。
しかし、その中でも未だにSHURE SE215は有力な候補の一つです。
そして、ゼンハイザーIE40PROの登場により、そこに新たな選択肢が加わりました。

まずは、SHURE SE215から紹介します。

SHURE SE215

SHURE SE215は、発売したのが2011年4月です。私も発売当初に購入しました。その後、カラーバリエーションのアンケートが実施され、現在のSE215 Special Editionのカラーであるトランセントブルーが人気投票1位になりました。そして、その約1年後の2012年11月28日に、低音を強化したチューニングが施されたSE215 Special Editionが発売されました。

現在では、スタンダードとなったMMCXコネクタによるリケーブルや"SHURE掛け"呼ばれるようになっている装着方法を、1万円台前半という値段で実現した画期的なイヤホンでした。それまでは、リケーブルができるのは3万円以上のイヤホンに限られていました。SHUREの伝統でもある高い遮音性をダイナミックドライバーを搭載しながら、実現していました。

現在の高級イヤホンの条件をすべてクリアしており、Ultimate EarsTriple.fi 10 Proと共に現在の高級イヤホンの普及に、最も貢献したイヤホンだと思います。

音質とユーザービリティ

SHURE SE215は素晴らしいイヤホンです。完全に密閉されたダイナミックドライバーは、高い遮音性と引き換えに、やや音場が狭く、ヌケの悪さを感じるかもしれません。
それでも、十分にクリアな音質で、高音域も柔らかく、長時間使用しても聞き疲れしにくい音作りです。中低域よりのイヤホンで、BAドライバ搭載のイヤホンのような高域のキラキラ感はありません。地下鉄などの騒音の多い環境で使うと、はっきりとボーカルが聞こえ、低域のバランスがちょうど良くなります。
それでも、当時のダイナミックドライバー搭載のイヤホンとしては、価格を考慮しなくても非常に優秀です。

特に耐久性が素晴らしいです。もともとプロ仕様であったSE215のケブラー素材で強化された162cmのケーブルは約8年間使用しましたが、未だに断線せずに使えています。長さと太さがやや気になりますが、しなやかでタッチノイズもなく扱いやすいです。
耳の周りには、ワイヤーが入っておりSHURE掛けがしやすくなっています。
最近になって本体にヒビが入ってしまったので、SE215SPEに買い替えましたが、約6年間という長い間使用できました。ケーブルは未だに最初に買ったSE215のものを使っているので、信じられない耐久性です。
ただし、SE215SPEになってから付属するようになったマイクリモコン付きケーブルは、短く細くなってクセが付きにくくなりましたが、タッチノイズが出やすい硬いケーブルになってしまったところが残念です。マイクリモコンがつかない通常のケーブルが付属するものがオススメです。

さらにアンプに対する要求も低いです。iPhoneに直挿しでも、音の傾向は変わらずに音量をとることができます。もちろん、ヘッドホンアンプを使ったほうがより良くなりますが、持ち歩くのが面倒なので、普段は使っていません。使ったほうが低音域のタイトさが少し増し、クリアな音質になります。

また、カスタマイズ性も高いです。SHUREのSEシリーズの成功によりMMCX端子を採用したイヤホンが主流になりました。そのため、様々な交換ケーブルが発売されていますので、自分にあった長さや材質を選ぶことができます。


AONIC215

最近では、SHURE純正のワイヤレスモジュールも発売されました。
ワイヤレスモジュールには独自設計のアンプを搭載し、ワイヤレスモジュール単体で最大8時間の連続再生が可能で、ケース充電では3回分フル充電できるバッテリーを搭載してます。Bluetooth 5.0に準拠し、コーデックはaptX、AAC、SBCをサポートしています。
アクティブノイズキャンセリングは搭載されていませんが、シュアのワイヤレス・マイクロホンRFエンジニアが開発に関わっており、アンビエント機能(外音取り込み機能)も備え、簡単な操作で切り替え可能です。
SE215自体が非常に高い遮音性を持っているので、アクティブノイズキャンセリングがなくても、問題ないと思います。むしろSE215の遮音性が高すぎて、外の音が聞こえず危ない場面もあると思うので、アンビエント機能(外音取り込み機能)は非常に便利だと思います。
ワイヤレスモジュール単体もRMCE-TW1 完全ワイヤレス・セキュアフィット・アダプターとして近日発売される予定です。店頭予想価格は24,800円前後となるようです。

価格差を考えると、SE215本体が5000円で買える計算になりますので、単品で買うよりセットになっているAONIC215を買ったほうがお得かもしれません。


ゼンハイザー IE40PRO




ゼンハイザー IE40PRO


ゼンハイザーIE40PROは2018年12月6日に発売されたダイナミックドライバー搭載のイヤホンです。革新的な内部ケーブルダクトを備えた着脱可能ケーブル(特許出願中)を備え、イヤーピースも独自のフィルターと十字の区切りを備えてます。
このため、ユーザーが純正以外のケーブルにリケーブルすることは、現在のところできません。
イヤーピースは、SONYのハイブリッドイヤーピースやSpinFitなどに交換できます。しかし、フィルター入っていないためか、中音域の主張が強くなりバランスが悪くなってしまいました。
ゼンハイザーIE40PROはSHURE SE215とは違い、ハウジングにベント(通気穴)があり、ハウジングとドライバ、そしてイヤーピースのフィルターなどイヤホン全体を1つとして考えて設計されているように感じます。
現在のところ、ユーザーがカスタマイズする要素は一切ありません。購入して、付属品をそのまま使うのがベストです。


音質とユーザービリティ


圧倒的な音質のクリアさが、ゼンハイザーIE40PROにはあります。
ゼンハイザーHD650のような柔らかい音質を求めるなら、SE215の方が似ていておすすめです。
高音域は、とてもクリアで適度な残響感があります。SHURE SE215と比べると、ややキツく感じるかもしれません。
特筆すべきは低域のタイトさです。ベースの沈み込みや音の収束する速さは素晴らしい仕上がりです。SHURE SE215のような柔らかさや曖昧さは、一切感じられません。ベントのおかげか音場も自然な広さがあり、定位も抜群です。

ベントがあるため、SHURE SE215と比べてやや音漏れ防止は劣ります。しかし、常識的な音量で使う分には、ほとんど気にならないレベルだと思います。ただし、遮音性はかなり劣ります。この点については、SHURE SE215の遮音性が高すぎるだけですが。
他の一般的なカナルイヤホンと比べても、遮音性と音漏れ防止性能です。特に不満に感じることはないでしょう。

アンプに対する要求も低いです。iPhoneに直挿しでも、音の傾向は変わりません。もちろん、ヘッドホンアンプを使ったほうがより良くなります。低音域の量がやや増え、高音域に少し落ち着きが出ます。
ケーブルは良くないです。音質面では、交換できる選択肢が現在ないため、わかりませんが、タッチノイズがひどいです。SHURE掛けしていてもゴトゴトとタッチノイズを感じます。ケーブルにクセはつきにくいですが、しなやかさはありません。
はっきり言って、ゼンハイザーの3,000円くらいのイヤホンと同じ素材を使っているように感じます。

MMCXコネクタとゼンハイザー独自コネクタ



プラグの太さの比較

ゼンハイザーIE40PROはSHURE SE215を超えたか?

音質面だけで見れば、ゼンハイザーIE40PROのほうがいいです。
ゼンハイザーHD650、AKG K701などのスタジオモニターヘッドホンと比べても、遜色なくむしろ、音作りの新しさを感じます。
最近、高級イヤホンやヘッドホンを購入したことがない方は、ぜひ試してほしいです。
しかし、音質以外はSHURE SE215のほうが優れます。遮音性やタッチノイズがほとんどない点、様々なリケーブルの選択肢があることなどメリットは多いです。




どちらを買うべきか?

当たり前の回答になりますが、使うシチュエーション次第です。
比較的静かな環境で使用するのであれば、ゼンハイザーIE40PROがおすすめです。
電車内などの騒音のある環境であれば、SHURE SE215が良いです。
多くの人にとっては、SHURE SE215がベストな選択肢になると思います。

新幹線や地下鉄、バスなどの長時間の移動に使うなら、SHURE SE215の遮音性や全体的に柔らかい音作りは、騒音を軽減し、バランスの良い音に聞こえます。
ゼンハイザーIE40は、そういった環境で使うと低音域が少なく感じられ、高音域のキツさが気になってきます。

比較的静かなカフェや図書館で使うなら、ゼンハイザーIE40PROがおすすめです。
動かなければ、ケーブルのタッチノイズもなく、静かな環境であれば、バランスの良く音場が広く聞きやすい音です。
音漏れもよほどの音量で聞かない限りは問題ないでしょう。

ゲームに使うにはどっちがよい?

イヤホンごとにオススメのジャンルを説明します。

SHURE SE215

SE215のオススメのゲームジャンルはFPS、レースゲームです。
まず、FPSでは低域が多めなので、敵の足音が聞き取りやすいです。射撃音も低音が効いていて臨場感があります。また、高音が柔らかいので、コンカッションや近くに爆撃を受けたときのキーンという音で耳が痛くなりにくいです。

レースゲームでは、エンジン音や排気音がよく楽しめます。エンジン音がよく聞こえるのでギアチェンジのタイミングもつかみやすくなります。

また、マイク付きケーブルにも簡単に交換できるので、ボイスチャットがしやすいので様々なマルチプレイヤーのゲームで使えます。遮音性も非常に高いのでプレーに集中しやすいです。

ゼンハイザー IE40PRO

IE40PROのオススメのジャンルは音ゲーです。多くの音ゲーのタップ音は高域が多いので、タップ音が聞きやすく、PERFECTやGREATの判断がしやすくなります。また、クリアかつタイトな音ですのでリズムをつかみやすいです。

現在のところマイク付きケーブルはありませんので、マルチプレイヤーでボイスチャットが必要なゲームには使いにくいです。

まとめ

SHURE SE215は、発売から年数が経過していますが、やはりすごいイヤホンです。初めて1万円以上のイヤホンを買うならSHURE SE215をオススメします。ケーブルの選択肢が多く、イヤーピースも様々なサードパーティから発売されているので、自分にあったイヤーピースを見つけられます。

ゼンハイザーIE40PROは、ケーブルのタッチノイズが大きく、しなやかではないので、残念です。イヤーピースも交換できますが、純正以外だとかなり音質が変わってしまうので、フィット感が良くなかったときに交換しにくいです。音質を何よりも重視するという人にはオススメです。ただし、音質にも好みがありますのでIE40PROの低域がスカスカと感じる人もいるかも知れません。
そういった点でも、初めて高級イヤホン(今では1万円のイヤホンを高級といえないかもしれませんが)を買って、遮音性の高さに驚き、全域でしっかりと主張のある音質が良いと感じやすいバランスの音作りで、わかりやすく感動できるのはSHURE SE215です。

キーボードの選び方

PCの入力デバイスとしてキーボードは欠かせないものです。音声入力の精度が高くなっているので音声入力をメインに使っている人もいるようですが、いまだにキーボードが主流だと思います。1,000円以下で買えるものから3万円以上するものまでありますが、どれも文字を入力するという機能は同じで...