Bluetoothが使える高音質DAC
ピュアオーディオ業界は、ワイヤレスの導入に積極的ではありません。
なぜなら、妥協ない高音質を目指しているので、圧縮するため劣化し、ノイズの影響を受けやすいワイヤレスというのは嫌われ者でした。
しかし、ワイヤレスはとても便利です。今ではどんなデバイスでもBluetoothが搭載されています。いちいちスマホにケーブルを挿して音楽を聞くのは面倒です。
AppleのAirPodsのヒットを見ても分かるように、気軽に使えるというのは、一般ユーザーにとっては、音質よりも重要です。
そして、利便性と音質が両立されていれば最高です。ですが、意外とそういった選択肢は少ないです。現在あるのはBluetoothを搭載しているDACのほとんどは、ポータブル向けです。
そのなかで、iFi Audio nano iOneは異色の存在なのかもしれません。
バッテリーは搭載のUSBバスパワー駆動で据え置きでの使用を前提としています。そして、USB、Bluetooth、SPDIFの3つの入力を備えています。さらに、現在あるコーデックのほぼ全てに対応しています。
そのためデスクトップに置くだけで、PC、ゲーム機、スマホやタブレットなどあらゆるデバイスと接続できます。
そのためデスクトップに置くだけで、PC、ゲーム機、スマホやタブレットなどあらゆるデバイスと接続できます。
最新のDACチップが最良とは限らないかも
D/A変換はまだ完璧な技術ではないのかもしれません。新しいチップほど高性能で、1枚のチップでボリュームコントロールなどの様々な機能を備えていたり、省電力化されています。しかし、必ずしも高音質というわけではないようです。
iFi Audio nano iOneのDACチップは、バーブラウンDSD1793を搭載しています。iFi Audioはこのチップにこだわりがあるようで、現在販売しているすべてのDACに、このチップを搭載しています。
iFi Audio nano iOneのDACチップは、バーブラウンDSD1793を搭載しています。iFi Audioはこのチップにこだわりがあるようで、現在販売しているすべてのDACに、このチップを搭載しています。
バーブラウンDSD1793は、2003年に発売された10年以上も前のチップです。当時はBluetoothが日本で普及を始めたばかりの頃で、アメリカではiTunes Storeが開始された時代です。当時の音源は、ほとんどがCDで、そして一部がSACD、ごく僅かにダウンロードによる音楽配信があった程度でした。コーデックも高音質はPCM、圧縮音源はMP3が主流で、DSDやAACが一部で使われているような状況でした。
そんな昔のチップが、ハイレゾ音源などの当時にはなかった様々なソースがある現在でも使えるのか?
どうやら使えるようです。そして、音質も素晴らしいです。
音質
USB、SPIDIF、Bluetooth、3つの入力に関しても感じるのはクリアさです。
余計な付帯音をなくし、ノイズの少なさを感じます。
余計な付帯音をなくし、ノイズの少なさを感じます。
入力ソースに対して忠実にアナログ変換しているような感じがします。ソースが良ければ良く、悪ければ悪いように、そのままダイレクトに変換されています。
CHORD Mojoのように、どんなソースもCHORDの音にしてしまうことはありません。
CHORDは独自のDA変換をしているため、他のDACとは比較にならない特徴のある音質です。その音質が気に入れば、CHORD以外を買う気がしなくなります。
対して、iFi Audioは、入力ソースに忠実にDACの存在を感じさせません。録音されA/D変換されたものを、なるべくそのままD/A変換しようとしている気がします。
接続の安定性
Bluetooth
aptXとACCの両方のコーデックに対応しているため、Bluetoothでも高音質です。Bluetooth接続は、確認できた範囲では3台ペアリングすることができました。確認していないので、それ以上にできるかもしれません。
最後に接続したデバイスが優先されて接続されます。切り替えたい場合はフロントパネルにあるペアリングボタンで切り替えられます。
音切れやノイズは今のところ発生したことはありません。近くでBluetoothマウスを使用していますが、問題なく使用できています。
半径5メートルくらいまでは、接続にまったく問題はありません。
4ヶ月ぐらい使用していますが、一度だけ接続はできているが、音が出なくなるトラブルがありました。デバイスのペアリングを解除して、再度ペアリングすることで回復しました。
特に大きな問題はなかったので、Bluetooth接続に関しては優秀だと思います。
USB
PCに接続するだけで、オーディオデバイスとして認識されます。特に接続が途切れたりすることもなく、安定して使用できます。SPDIF
接続に関して特に問題はありません。ガルバニック・アイソレーションが施されており、電気的に絶縁されているため、ノイズの影響が少なくです。気になる点
USBバスパワー駆動
USBバスパワーで駆動するため、BluetoothとSPDIFを使う場合でも、PCの電源が入っている必要があります。これは、かなり残念な点でBluetoothだけ使いたいというときに不便です。常に給電できるようにUSB端子に電源を繋いでしまうと今度はUSB入力が使えなくなります。これを回避するためには、iFi Audio iDefender3.0とiPower 5Vを組み合わせて使うことで、PCの電源が入っていない状態でも使用する事ができるようになります。また、クリーンな電源で給電されるので音質も向上します。
ただし、これらをセットで購入すると5万円以上になってしまうのが欠点です。
入力が少ない
iFi Audio nano iOneは3つのデジタル入力系統と1つのアナログ出力とデジタル出力を備えています。
しかし、デジタル出力を使う場合はSPDIF入力が使えなくなります。なぜなら、デジタル出力と入力を1つの端子で行っているからです。
まとめ
iFi Audio nano iOneはあらゆるデジタルソースに対応する珍しいデバイスです。価格も3万円以下とオーディオ機器としてはお手頃です。
初めてDACを買おうと思う人には非常におすすめです。iFi Audioの上位モデルと同じDAチップを採用しているので、音質が良いです。この音質が気に入れば、上位モデルの購入を検討してみると良いと思います。
また、オーディオシステムをアップグレードしていってもBluetoothレシーバーとして活用できるので、無駄になりにくいです。より高価な機器ほどBluetooth接続できないものが多いです。
ヘッドホンアンプの機能はついていないため、別に用意する必要があります。
手軽に様々なデジタルデバイスと接続できて、価格もオーディオ機器の中では比較的安価で手に入り、高音質を体感できます。