2019年3月23日土曜日

1万円台前半 ベスト・バイ・イヤホンを比較 ゼンハイザー IE40Pro vs SHURE SE215

新世代のスタンダードとなるイヤホン


SHURE SE215 SPE ゼンハイザーIE40PRO

激戦区1万円台前半のイヤホン

2019年現在、1万円台のイヤホンは、イヤホン・ヘッドホンブームによりSHURE SE215発売当時の2011年と比べると、信じられないくらい沢山の選択肢があります。最近では、完全ワイヤレスイヤホンも流行っていますので、さらに選択肢は多いです。
しかし、その中でも未だにSHURE SE215は有力な候補の一つです。
そして、ゼンハイザーIE40PROの登場により、そこに新たな選択肢が加わりました。

まずは、SHURE SE215から紹介します。

SHURE SE215

SHURE SE215は、発売したのが2011年4月です。私も発売当初に購入しました。その後、カラーバリエーションのアンケートが実施され、現在のSE215 Special Editionのカラーであるトランセントブルーが人気投票1位になりました。そして、その約1年後の2012年11月28日に、低音を強化したチューニングが施されたSE215 Special Editionが発売されました。

現在では、スタンダードとなったMMCXコネクタによるリケーブルや"SHURE掛け"呼ばれるようになっている装着方法を、1万円台前半という値段で実現した画期的なイヤホンでした。それまでは、リケーブルができるのは3万円以上のイヤホンに限られていました。SHUREの伝統でもある高い遮音性をダイナミックドライバーを搭載しながら、実現していました。

現在の高級イヤホンの条件をすべてクリアしており、Ultimate EarsTriple.fi 10 Proと共に現在の高級イヤホンの普及に、最も貢献したイヤホンだと思います。

音質とユーザービリティ

SHURE SE215は素晴らしいイヤホンです。完全に密閉されたダイナミックドライバーは、高い遮音性と引き換えに、やや音場が狭く、ヌケの悪さを感じるかもしれません。
それでも、十分にクリアな音質で、高音域も柔らかく、長時間使用しても聞き疲れしにくい音作りです。中低域よりのイヤホンで、BAドライバ搭載のイヤホンのような高域のキラキラ感はありません。地下鉄などの騒音の多い環境で使うと、はっきりとボーカルが聞こえ、低域のバランスがちょうど良くなります。
それでも、当時のダイナミックドライバー搭載のイヤホンとしては、価格を考慮しなくても非常に優秀です。

特に耐久性が素晴らしいです。もともとプロ仕様であったSE215のケブラー素材で強化された162cmのケーブルは約8年間使用しましたが、未だに断線せずに使えています。長さと太さがやや気になりますが、しなやかでタッチノイズもなく扱いやすいです。
耳の周りには、ワイヤーが入っておりSHURE掛けがしやすくなっています。
最近になって本体にヒビが入ってしまったので、SE215SPEに買い替えましたが、約6年間という長い間使用できました。ケーブルは未だに最初に買ったSE215のものを使っているので、信じられない耐久性です。
ただし、SE215SPEになってから付属するようになったマイクリモコン付きケーブルは、短く細くなってクセが付きにくくなりましたが、タッチノイズが出やすい硬いケーブルになってしまったところが残念です。マイクリモコンがつかない通常のケーブルが付属するものがオススメです。

さらにアンプに対する要求も低いです。iPhoneに直挿しでも、音の傾向は変わらずに音量をとることができます。もちろん、ヘッドホンアンプを使ったほうがより良くなりますが、持ち歩くのが面倒なので、普段は使っていません。使ったほうが低音域のタイトさが少し増し、クリアな音質になります。

また、カスタマイズ性も高いです。SHUREのSEシリーズの成功によりMMCX端子を採用したイヤホンが主流になりました。そのため、様々な交換ケーブルが発売されていますので、自分にあった長さや材質を選ぶことができます。


AONIC215

最近では、SHURE純正のワイヤレスモジュールも発売されました。
ワイヤレスモジュールには独自設計のアンプを搭載し、ワイヤレスモジュール単体で最大8時間の連続再生が可能で、ケース充電では3回分フル充電できるバッテリーを搭載してます。Bluetooth 5.0に準拠し、コーデックはaptX、AAC、SBCをサポートしています。
アクティブノイズキャンセリングは搭載されていませんが、シュアのワイヤレス・マイクロホンRFエンジニアが開発に関わっており、アンビエント機能(外音取り込み機能)も備え、簡単な操作で切り替え可能です。
SE215自体が非常に高い遮音性を持っているので、アクティブノイズキャンセリングがなくても、問題ないと思います。むしろSE215の遮音性が高すぎて、外の音が聞こえず危ない場面もあると思うので、アンビエント機能(外音取り込み機能)は非常に便利だと思います。
ワイヤレスモジュール単体もRMCE-TW1 完全ワイヤレス・セキュアフィット・アダプターとして近日発売される予定です。店頭予想価格は24,800円前後となるようです。

価格差を考えると、SE215本体が5000円で買える計算になりますので、単品で買うよりセットになっているAONIC215を買ったほうがお得かもしれません。


ゼンハイザー IE40PRO




ゼンハイザー IE40PRO


ゼンハイザーIE40PROは2018年12月6日に発売されたダイナミックドライバー搭載のイヤホンです。革新的な内部ケーブルダクトを備えた着脱可能ケーブル(特許出願中)を備え、イヤーピースも独自のフィルターと十字の区切りを備えてます。
このため、ユーザーが純正以外のケーブルにリケーブルすることは、現在のところできません。
イヤーピースは、SONYのハイブリッドイヤーピースやSpinFitなどに交換できます。しかし、フィルター入っていないためか、中音域の主張が強くなりバランスが悪くなってしまいました。
ゼンハイザーIE40PROはSHURE SE215とは違い、ハウジングにベント(通気穴)があり、ハウジングとドライバ、そしてイヤーピースのフィルターなどイヤホン全体を1つとして考えて設計されているように感じます。
現在のところ、ユーザーがカスタマイズする要素は一切ありません。購入して、付属品をそのまま使うのがベストです。


音質とユーザービリティ


圧倒的な音質のクリアさが、ゼンハイザーIE40PROにはあります。
ゼンハイザーHD650のような柔らかい音質を求めるなら、SE215の方が似ていておすすめです。
高音域は、とてもクリアで適度な残響感があります。SHURE SE215と比べると、ややキツく感じるかもしれません。
特筆すべきは低域のタイトさです。ベースの沈み込みや音の収束する速さは素晴らしい仕上がりです。SHURE SE215のような柔らかさや曖昧さは、一切感じられません。ベントのおかげか音場も自然な広さがあり、定位も抜群です。

ベントがあるため、SHURE SE215と比べてやや音漏れ防止は劣ります。しかし、常識的な音量で使う分には、ほとんど気にならないレベルだと思います。ただし、遮音性はかなり劣ります。この点については、SHURE SE215の遮音性が高すぎるだけですが。
他の一般的なカナルイヤホンと比べても、遮音性と音漏れ防止性能です。特に不満に感じることはないでしょう。

アンプに対する要求も低いです。iPhoneに直挿しでも、音の傾向は変わりません。もちろん、ヘッドホンアンプを使ったほうがより良くなります。低音域の量がやや増え、高音域に少し落ち着きが出ます。
ケーブルは良くないです。音質面では、交換できる選択肢が現在ないため、わかりませんが、タッチノイズがひどいです。SHURE掛けしていてもゴトゴトとタッチノイズを感じます。ケーブルにクセはつきにくいですが、しなやかさはありません。
はっきり言って、ゼンハイザーの3,000円くらいのイヤホンと同じ素材を使っているように感じます。

MMCXコネクタとゼンハイザー独自コネクタ



プラグの太さの比較

ゼンハイザーIE40PROはSHURE SE215を超えたか?

音質面だけで見れば、ゼンハイザーIE40PROのほうがいいです。
ゼンハイザーHD650、AKG K701などのスタジオモニターヘッドホンと比べても、遜色なくむしろ、音作りの新しさを感じます。
最近、高級イヤホンやヘッドホンを購入したことがない方は、ぜひ試してほしいです。
しかし、音質以外はSHURE SE215のほうが優れます。遮音性やタッチノイズがほとんどない点、様々なリケーブルの選択肢があることなどメリットは多いです。




どちらを買うべきか?

当たり前の回答になりますが、使うシチュエーション次第です。
比較的静かな環境で使用するのであれば、ゼンハイザーIE40PROがおすすめです。
電車内などの騒音のある環境であれば、SHURE SE215が良いです。
多くの人にとっては、SHURE SE215がベストな選択肢になると思います。

新幹線や地下鉄、バスなどの長時間の移動に使うなら、SHURE SE215の遮音性や全体的に柔らかい音作りは、騒音を軽減し、バランスの良い音に聞こえます。
ゼンハイザーIE40は、そういった環境で使うと低音域が少なく感じられ、高音域のキツさが気になってきます。

比較的静かなカフェや図書館で使うなら、ゼンハイザーIE40PROがおすすめです。
動かなければ、ケーブルのタッチノイズもなく、静かな環境であれば、バランスの良く音場が広く聞きやすい音です。
音漏れもよほどの音量で聞かない限りは問題ないでしょう。

ゲームに使うにはどっちがよい?

イヤホンごとにオススメのジャンルを説明します。

SHURE SE215

SE215のオススメのゲームジャンルはFPS、レースゲームです。
まず、FPSでは低域が多めなので、敵の足音が聞き取りやすいです。射撃音も低音が効いていて臨場感があります。また、高音が柔らかいので、コンカッションや近くに爆撃を受けたときのキーンという音で耳が痛くなりにくいです。

レースゲームでは、エンジン音や排気音がよく楽しめます。エンジン音がよく聞こえるのでギアチェンジのタイミングもつかみやすくなります。

また、マイク付きケーブルにも簡単に交換できるので、ボイスチャットがしやすいので様々なマルチプレイヤーのゲームで使えます。遮音性も非常に高いのでプレーに集中しやすいです。

ゼンハイザー IE40PRO

IE40PROのオススメのジャンルは音ゲーです。多くの音ゲーのタップ音は高域が多いので、タップ音が聞きやすく、PERFECTやGREATの判断がしやすくなります。また、クリアかつタイトな音ですのでリズムをつかみやすいです。

現在のところマイク付きケーブルはありませんので、マルチプレイヤーでボイスチャットが必要なゲームには使いにくいです。

まとめ

SHURE SE215は、発売から年数が経過していますが、やはりすごいイヤホンです。初めて1万円以上のイヤホンを買うならSHURE SE215をオススメします。ケーブルの選択肢が多く、イヤーピースも様々なサードパーティから発売されているので、自分にあったイヤーピースを見つけられます。

ゼンハイザーIE40PROは、ケーブルのタッチノイズが大きく、しなやかではないので、残念です。イヤーピースも交換できますが、純正以外だとかなり音質が変わってしまうので、フィット感が良くなかったときに交換しにくいです。音質を何よりも重視するという人にはオススメです。ただし、音質にも好みがありますのでIE40PROの低域がスカスカと感じる人もいるかも知れません。
そういった点でも、初めて高級イヤホン(今では1万円のイヤホンを高級といえないかもしれませんが)を買って、遮音性の高さに驚き、全域でしっかりと主張のある音質が良いと感じやすいバランスの音作りで、わかりやすく感動できるのはSHURE SE215です。

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