2020年10月1日木曜日

うまく誤魔化してくれるヘッドホン【GRADO The Hemp Headphone】

 GRADO限定モデルの魅力


GRADOは最近、年に1回以上限定モデルを発売しています。
限定モデルといっても、ぱっと見た感じ通常モデルと同じようにしか見えません。ただのカラバリじゃんと思う人が多いでしょう。
しかし、GRADOヘッドホンは限定モデルに限りませんが、見た目はほとんど同じでも全く違う音質です。
そのため、新しいモデルが出ると「今回はどんな音に仕上げてきたのかな?」と気になって買ってしまいそうになります。
さらに限定モデルだと、買い逃すと入手するのが難しくなるので買わなくちゃという気持ちになります。
ただ、GRADO限定ヘッドホンは、だいたい5万円以上するので、気安く買えません。
しかし、今回のHEMP Headphoneは、GRADOの新たな挑戦を感じられたので、結局買ってしまいました。


まったく新しいGRADO

GRADO The Hemp Headphoneは、まったく新しいGRADOヘッドホンです。
「いやいや、いつものGRADOと変わってないじゃん」と思う方がほとんどでしょう。
しかし、細かく見ると今までと全く同じなのは、ヘッドバンドとケーブルとドライバーだけです。
こうやって書いてみると、あんまり変わらない気がしてきましたが、別物です。

イヤーパッドF

一番わかりやすい変化はイヤーパッドです。
新しく“Fパッド”と名付けられたイヤーパッドが装着されています。
これは今までのLパッドと同じ材質で、Sパッドくらいの厚みにして中心をドーナッツ状にくり抜いた感じです。そして、どういった効果があるか不明ですが、放射状に8本切り込みが入っています。
残念ながら、装着感は改善されていません。Lパッドと同じ材質なので、ゴワゴワすると感じるでしょう。さらに薄くなっているので、Lパッドより装着感が悪いと感じるかもしれません。
ゴワゴワ感は、中性洗剤で洗うとかなり緩和されます。気になる人は一度洗ってみるといいでしょう。



テーパー形状ハウジング

今までのGRADOヘッドホンは、単純な筒に近い構造でした。
構造のイメージとしてはスーパーマリオに出てくる土管と同じ形状です。
しかし、今回のHEMP Headphoneは複雑なテーパー形状です。テーパー形状とは、外側に行くに従って広くなる富士山のような形状です。音質にどんな影響を与えているか、わかりませんが新しい要素です。

HEMP(大麻)繊維の高密度圧縮ハウジング

今までのGRADOは木材を削り出してハウジングを作っていました。
一部はプラスチック製だったり、木材やプラスチックの上にアルミ合金で覆ったものもあります。
しかし、今回は新しい製法のハウジングです。
繊維を高密度に圧縮してハウジングを形成しています。そのため、従来のGRADOよりもやや複雑なハウジングの形状になっています。
繊維を圧縮して作られているので、木目以上に世界に一つしかない模様のヘッドホンを手に入れられます。



ハイブリットハウジング

大型のGS2000eでは、マホガニーとメイプルのハイブリット構造になっています。
中型のGRADOヘッドホンには、初めての採用だと思います。
Hemp Headphoneでは、Hemp繊維の圧縮材とメイプル材を組み合わせたハイブリット構造になっています。HEMP繊維の圧縮材が9割とメープル材が1割を組み合わせた構造になっています。



音質

高音の音質

GRADOにしては珍しく高音域のギラギラ感がありません。刺さるような高音域が控えめになっています。それでも高音寄りのバランスになっています。刺さらず聞きやすいですが、GRADOらしい高音域の鮮やかさは失われていません。
今までの癖の強すぎた高音域よりも、かなり上手く調整されています。そのため、今までのGRADOの高音域が好きだと言う人には、普通のヘッドホンに近くなってしまったように感じると思います。

中音域の音質

このヘッドホンの最大の魅力は、中音域です。
バランスはやや高音よりですが、中音域が一番はっきりしています。高音域と中音域の繋がりがとてもスムーズです。
ヴォーカルは、クリアでとても近いです。控えめな低音域と刺さらない高域と合わさって、とても聞きやすいです。目の前で歌っているかのような感覚を得られます。

低音の音質

低音域は控えめですが、タイトでボワつきがなく、キレがありスピード感があります。このあたりは従来のGRADOらしさがあります。
GRADOのヘッドホンにしては、低音が多いです。密閉型のヘッドホンやイヤホンになれている人には物足りなく感じるかもしれません。しかし、この低音のバランスのおかげで中音域のクリアさが保たれていると思います。

曖昧さがある

GRADO The Hemp Headphoneの最大の特徴は曖昧さです。曖昧というと解像度が低いとかあまりイメージが良くないように聞こえますが、どんな音源でもいい感じに誤魔化してくれます。
高級ヘッドホンを買う理由は色々ありますが、録音があまり良くないアニソンをいい音で聞きたい場合に解像度が高いとかモニター向きと言われるヘッドホンを買うと失敗します。
そういったヘッドホンは良い録音はより良くダメなところはよりダメに表現してくれます。
なので、せっかく買ったのになんか満足できないけど、高いからきっといいはずと思って仕方なく使い続ける人が多いと思います。非常にもったいないです。大体の高級ヘッドホンのレビューはクラシックやジャズなど録音がしっかりしたものでレビューされています。最近では、アニソンなどでレビューしている場合もありますが参考になるかは微妙です。

録音されたものを細かくしっかりと聞きたいという人には向きません。しかし、そういった目的でヘッドホンを購入する人は少ないと思います。
好きな曲をもっといい音で聴きたいという理由の人が一番多いと思います。好きな曲の録音が良ければ、どんなヘッドホンでも結構いい音だなと感じると思います。しかし、録音が微妙なのは、ヘッドホンを高くしても基本的に良くならず、かえって粗が目立つようになります。
GRADO The Hemp Headphoneは、残念な録音もいい感じにしてくれます。これは人によってはなにかイコライザーやエフェクターをかけような感じがして気に入らないこともあるかもしれません。しかし、録音を忠実に再現してくれるヘッドホンはたくさんあります。
そういったなかで、GRADO The Hemp Headphoneは適度な曖昧さのおかげで誤魔化してくれるため好きな曲を楽しく聴かせてくれる数少ない選択肢だと思います。





まとめ

GRADOの中型ヘッドホンとしては、49,500円と少し安くなっています。
GRADOの高域が苦手だという方には試してほしいです。最も癖のないGRADOヘッドホンだと思います。
ヴォーカルをクリアに聴きたいと思うなら、最高のヘッドホンです。とにかくヴォーカルが入っている曲ならだいたいいい感じにしてくれると思います。
GRADOの限定ヘッドホンの中では、安く限定数も多いようなので入手しやすいと思います。
新しいイヤーパッドFの装着感があまり良くなかったのが残念ですが、完成度が高いヘッドホンです。
一応限定なので、気になる方は早めに購入しましょう。

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