GRADOは最高の音質のヘッドホンというわけではないと思います。
しかし、他のメーカーにはない魅力があります。
とてもシンプルなつくりで軽量で装着感が良いです。そして、何より音楽を楽しく聞けます。
発売しているヘッドホンのラインナップには上下関係はなく、どのヘッドホンも他のヘッドホンとは違う魅力があります。
GRADOのヘッドホンは、高いモデルほど音が良いわけではありません。それぞれに全く違う音質なので、ついつい購入してしまいます。
GRADOってどんなメーカー?
GRADOはグラドと読みます。GRADOは1953年にニューヨーク州ブルックリンで、ジョゼフ・グラド氏によって創業されたメーカーです。
創業当時は、アナログレコードの針を製造していました。現在でもアナログレコードの針を製造しています。
1990年にジョセフ・グラド氏の甥のジョン・グラド氏の考案により、同社初のヘッドホンHP1が発売されました。HP1のデザインを見てみると、現在のGRADOのヘッドホンのデザインとほとんど変わりません。
GRADOのヘッドホンは、一部の低価格モデルとイヤホンを除いて、すべてニューヨーク州ブルックリンで製造されています。
製造工場の様子はYou Tubeで見ることができます。工場というよりも、町工場やガレージメーカーっぽい感じです。
ニューヨーク・ブルックリンの工場で、すべてハンドメイドで作られています。
ホットボンドで豪快にハウジングとドライバーを接着しています。そのホットボンドが、はみ出たりするのは当たり前です。
そんな感じの雑な作りで、ヘッドホンの構造もシンプルなため、民芸品や日曜大工などと揶揄されています。ネット上の評判なので、半分くらいは嘘だろうと思っていましたが、実際に買ってみると、本当に雑な作りです。
これで数万円するのは信じられませんが、音が良いので仕方ありません。他のメーカーが音響工学に基づいて精密に製造しているのに、こんな適当かつシンプルな作りで音質が良いのが不思議です。
どのモデルもほとんど同じ形をしているのに、音質はモデルごとにまったく違うのが驚きです。
ラインナップ
GRADOのヘッドホンのラインナップとしては大きく3つに分けることができます。
オンイヤータイプ
SR125e 、SR80e、SR60e、GH3などがこちらのタイプになりなす。
付属のイヤーパッドSはGRADOのイヤーパッドの中で最も装着感が良いです。
ケーブルも4芯構造で細く、扱いやすいです。
価格はGRADOの中で最も安価です。
セミアラウンドイヤータイプ
GRADOヘッドホンの中で最も人気のあるタイプです。
PrestigeシリーズのSR325e、SR225eとReferenceシリーズが該当します。限定モデルも一番多く発売されているのがこのタイプです。
ケーブルは8芯構造でかなり太く、やや扱いにくいです。
アラウンドイヤータイプ
StatementシリーズとPS500eを除くProfessionalシリーズが主に該当します。
大型のLパッドというイヤーパッドが装着されています。
イヤーパッドGは、非常に高く1万円以上します。レザー製ならこの価格でも納得できますが、ただのスポンジです。
ただのスポンジにしてはあまりに高いので、「何か特別な技術が使われていて、コレをつければGSシリーズの音質になるのでは?」と購入する人が多かったようです。
ケーブルは8芯構造でかなり太く、やや扱いにくいです。
重量が300g以上あるので、装着感が悪そうなので私は購入したことがありません。しかし、GRADOの最も価格が高いシリーズなので、とても気になる存在です。
GRADOヘッドホンの特徴
音質
モデルごとに音質はまったく異なりますが、共通点だけ紹介します。
クリアかつスピード感がありヌケの良い音が特徴です。
特に高音域の鮮やかさに定評があります。
低音域は少なめですが、そのおかげで高音域が引き立ちます。
モニターヘッドホンのように、細かく楽器ごとにチェックするような使い方ではなく、リスニング用のとにかく音楽を楽しもうというヘッドホンです。周波数特性を気にしたり、音楽制作をする方にはおすすめできません。
音量が取りやすいので、スマホやタブレット、ノートPCなど、どんな機器でも気兼ねなく使うことができます。ヘッドホンアンプがあったほうがより良い音で聞けますが、なくてもとても良い音を出してくれます。
一度ハマると他のヘッドホンでは満足できなくなる独特の中毒性があります。私も完全にハマってしまって、限定モデルが出るとつい買ってしまいます。
質感
上位モデルは木材とレザーの素材としての高級感はあります。
ただし、作りは非常に悪いのでヘッドホン全体としての高級感みたいなものはありません。
ネット上では民芸品とか工芸品とか言われていて、どうせネタだろと思って購入すると実際にそう言われる理由が分かります。
ハウジングとドライバーを固定するホットボンドは盛大にはみ出していて、アメリカンな思考で「接着されてればいいだろ」って感じです。
使用されてるプラスチックも、とにかく安っぽいです。バリがあるのは当然で表現するのが難しいですが安物感がすごいです。
ドライバーを保護するメッシュも丸くカットできていません。きっと手作りでひとつひとつ切り抜いている証拠でしょう。ハンドメイドインブルックリン最高ですね!
レザーのヘッドバンドの縫製が真っ直ぐなのには驚きました。素晴らしいです。絶対曲がっていると思ってましたから。
私は、「ヘッドホンとして必要な機能以外を削ぎ落としたシンプルな部品で構成されたミニマルなデザイン」と思い込むことで自分を納得させています。
こんな雑な作りのヘッドホンは、音が良くなかったら絶対に買いません。
装着感
シンプルな作りのおかげで非常に軽量のため装着感は良いです。
ただし、ゴワゴワのイヤーパッドの好みは分かれます。私はあまり気になりませんでしたが、ザラザラと安っぽいスポンジを耳に押し付けている感じです。
ほとんどのヘッドホンが、200g以下です。最近のGRADOと同価格帯のヘッドホンが300g以上の重量があるので、いかに軽いのか分かると思います。
私がGRADOを好きな理由の1番はこの軽さかもしれません。ここまで軽いのでつけている感じがほとんどないのが素晴らしいです。極太ケーブルの存在感は、かなりありますが。
重量のあるアラウンドイヤータイプのGSシリーズは所持していないので、装着感はわかりませんが、軽量モデルの装着感は良いです。
GRADOは装着感が悪いと言われることが多いですが、ちゃんと調整すれば割と良好な装着感を得られます。
まずは、ヘッドバンドを手で曲げます。高そうに見えませんが、高価なヘッドホンなので躊躇しますが、しっかりと手で曲げます。自分の頭の形と好みの側圧になるように曲げていきましょう。信じられないかもしれませんが、これは公式の調整方法です。GRADOらしいですね。
ヘッドバンドは特殊な鉄板をレザーで覆ったもので作られています。そのため比較的自由な形に折り曲げることができるので、自由な側圧と様々な頭の形に対応できます。装着感悪いと感じている人は思い切ってヘッドバンドを曲げましょう。
ペンチなどの工具を使ったりして極端に曲げたりしない限り元に戻るので、試してみてください。
次に評判の悪いのがイヤーパッドです。オンイヤータイプのイヤーパッドは問題ないです。
しかし、GRADOのヘッドホンで人気のあるセミアラウンドイヤータイプのヘッドホンに付属するドーナツ状のイヤーパッドは、ゴワゴワする、ヤスリみたいで耳が削られるなど評判が悪いです。
このイヤーパッドですが、中性洗剤で洗うとゴワゴワ感が結構マシになります。
多少音質が変わってしまいますが、中国のサードパーティから発売されているイヤーパッドに交換すると多少改善されます。
それでも気になるようなら、mimimamoのヘッドホンカバーを装着するとかなり良くなります。ただし、音質が結構変わりますので注意が必要です。
まとめ
まったく完璧なヘッドホンではありません。しかし、他にはない魅力があります。
創業の地でハンドメイドで、ほとんどすべてのヘッドホンを制作している非常に貴重なメーカーです。多くのメーカーがフラッグシップモデルのみを自社工場で生産している中で、これは非常に珍しいことです。
ただ自社工場で作っているからと言って、作りが良いわけではないので気をつけましょう。中国製のヘッドホンのほうが仕上げはキレイです。
テキトーな作りですが、音質はその見た目からは想像できない高音質です。
作りの悪さと価格の高さから購入をためらう人も多いと思います。
作りの悪さも気にならないほどの魅力的なサウンドなので、ぜひGRADOのヘッドホンを手にとってみてください。